「出れんの!?サマソニ!? 2013」当日 ライブレポート

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千葉・幕張の最高気温38度!この夏一番の暑さを記録した週末に開催されたSUMMER SONIC 2013。いくつものハードルを突破し、激戦のオーディションを勝ち抜いてきた、アーティスト14組。彼らが目指した舞台、SIDE SHOW MARINE「出れんの!?サマソニ!?」は、サマソニのメインゲートの近くにある。チケットが完全ソールドアウトのためか、土曜の正午から人の往来が激しいこの場所で、どのぐらいの人が足を止めるのか、期待が膨らむ。
毎年様々なドラマを生み出すこのステージで、今年はどんなミラクルが繰り広げられるのか…、凍らせたペットボトル2本を持参して、ライブ取材へと向かった。(ちなみに、ライブ直前の前説に出てきた吉本芸人、こりゃめでてーな伊藤による「ドラマ『JIN -仁-』の“ペニシリンができているかを南方先生に聞きに行く桐谷健太”」のモノマネが似てた!!)


8月10日

恋する円盤

恋する円盤 © 長江佳美 トップバッターは、真夏の青空の下のステージが似合う平均年齢20才のフレッシュな6人組、恋する円盤。始まる直前、彼ら目当てに多くの女の子達がステージ前に嬉々として集まってきた。ストライプのTシャツに短パンの兄・大塚真太朗(Vo&G)が歌う疾走感ある爽やかなギターロックに心が弾み、紅一点の城明日香(Cho)が叩く鉄琴の音色に胸がキュンとする。ローゼズのTシャツを着た弟・大塚薫平(Dr)が時折スタンディングで叩くドラムもパンチが効いている。彼らの代表曲「夜明けまえ」の次第に高揚していくドラマティックな展開は圧巻。「次はもっとデカいステージで会いましょう!」足を止めた観客も巻き込む盛り上がりとなった。


GrandKey(グランドキー)

GrandKey(グランドキー) © 長江佳美 前のバンドとは対照的に、二人ともシックな黒のTシャツで登場した、男性二人組ユニット。名前の由来は、ギター(G)&キーボード(Key)=GrandKey(グランドキー)。ステージ中央に並べたイスに腰掛け、アコースティック・ギターとエレクトリック・ピアノだけで奏でる、ジャズやポップスを基本としたインストゥルメンタル。「今日はノリノリの曲しかやりません!」の言葉通り、激しく前のめりなプレイで、ギターとピアノの音が複雑に絡み合ったスピード感のあるアグレッシブなグルーヴを連発。オーディエンスは皆じっと集中して見入っていた。ラストはGrandKey流「ルパン三世のテーマ」をハイセンスな演奏で存分に魅せた。


トレモノ

トレモノ © 長江佳美 メンバー全員Tシャツ短パンで、真夏のゆる~い雰囲気そのままに舞台に上がったのは、沖縄県石垣島出身の4人組、トレモノ。ソウルやファンク、サーフミュージックなどを取り込んだ、ウキウキするような軽快なサウンドは、ちょっとオシャレな雰囲気で、砂浜のあるビーチステージが似合いそう。ソウルフルでありながら甘い歌声を持つ、盛り上げ上手なフロントマン木田龍良(Vo&G)は、短い時間の中にもコール&レスポンスを仕掛けたり、曲中に「サマソニー!」とアドリブを入れて叫んだり、マリンスタジアムの踊り場にいる観客にもアピールしたり。いつのまにか心地よさげに踊っている男性オーディエンスも増えて、束の間の南国気分となった。


amamori(アマモリ)

amamori(アマモリ) © 長江佳美 黒のロングワンピースにショートヘアと、フォーマルなルックスで登場した、新潟出身の女性シンガーソングライター、amamori。基本的にライブはピアノ弾き語りとのことだが、今回はドラム(堀江博貴/星屑オーケストラ)&ベース(智啓/ショージロージュニア)を迎えたトリオ編成で。音大のピアノ科卒の確かなテクニックに、早口で繰り出すハイトーンの歌声が特徴的。「わたしイタリアンパセリを育てていて“長谷川さん”って名前を付けて可愛がっていたのに、枯れちゃいまして。それを歌にしたので聴いてください。『パセリが枯れた』」。激しく叩きつける鍵盤と絶叫に近い歌声の混沌としたグルーヴが、エリア一帯の青空高くこだました。


give me wallets(ギブミーウォレッツ)

give me wallets(ギブミーウォレッツ) © 長江佳美 リハを終えると、Jess(Vo&Syn)がジャケットを着込み、舞踏会のような仮面をつけて本番スタート。ミラーボールが似合う80年代ディスコ・ミュージックをバックに、リバーブの効いたマイクで英語詞を歌い、くねくねしたダンスも独特のパフォーマンス。この音はバンド?DJ?4ピース・ダンス・バンド、ギブミーウォレッツのサウンドを通りがかりに耳にして、無視できる人はいないはず。次々にオーディエンスが新たに加わって、ステップを踏んで盛り上がる。一際目を引くのは、Sa-ya(VJ&Cho)のキュートで色っぽい存在感。観客に投げた言葉は最後の「ありがとうございました」だけだった、彼らのクールさは異彩を放った。


momo(モモ)

momo(モモ) © 長江佳美 ステージ前に大勢つめかけたファンから声援が飛びまくる中、愛嬌たっぷりのメンバーが登場。おしゃべり担当のひょうきんキャラのドラマー、細身のギタリスト、そして体重120kgを誇るギター&ボーカル。最も声援を浴びたのは、帽子に付いた大きな花、ピンクの頬紅に満面笑顔の紅一点しみずあすか(Ba)だったかも。ミヒャエル・エンデの小説から名づけられた4人組バンド、モモ。でも飛び出したサウンドは、ストレートなロックにどこか切ない繊細なメロディーと、心にすっと届く沁みるような歌詞。そして聴く者を熱くするロック魂の込められた、疾走感あふれるギターロック。一見したキャラとのギャップを誰かに教えたくなるライブだった。


Sh0h(ショー)

Sh0h(ショー) © 長江佳美 マイク1本でステージに立った、ヒューマンビートボクサーのSh0h(ショー)。リハから、スピーカーがビリビリする大音量が飛び出し、これが唇や喉だけで出している音とは、どんなパフォーマンスが始まるのかとドキドキ。スクラッチから始まって、リズムボックスとなり、飛行機や車の行き交う音、犬やにわとりの鳴き声、トランペットの音色へと変化。次第に音が複雑になり、歌とリズムが並走し、ジェスチャーのような手の表現も入り、臨場感溢れるヒップホップ・パフォーマンスを魅せた。ヴォイパとの違いをレクチャーする、ヒューマンビートボックスの伝道師的な一面や、黒人さんがステージに駆け寄って「Good!」と親指を立てる一幕も。


8月11日

HAPPY(ハッピー)- on SONIC STAGE -

サマソニ2日目のSONIC STAGE。クリマン賞を勝ち取った、京都の平均年齢19歳の5人組シンセ・ポップバンド、HAPPY。彼らのオープニングアクトのステージに、始まる前から多くの観客が集まった。メンバー登場に歓声があがる。広いステージを存分に使い、ドラム以外の4人のメンバーがフラットに並ぶ。バックから照らすライトが、スペイシーな電子音に似合っている。一見クールな雰囲気を漂わせる、甘くささやくような歌声の美しきツインボーカルに、シンセを多用したドリーミーなロックサウンドが鳴る。女の子のファンが多いかと思いきや、踊りまくる男子も続出!サマソニの夢の舞台を、彼らは堂々たるパフォーマンスで飾った。


ROTH BART BARON(ロットバルトバロン)

ROTH BART BARON(ロットバルトバロン) © Masatsugu Ide アコギを抱えたフロントマン三船雅也(Vo&G)の繊細でのびやかな歌声が、オーガニックなサウンドと共にQVCマリンフィールドに響き渡る。ロットバルトバロンは2人組だが、この日はホーン隊のサポートを含めた5人編成。トランペット&トロンボーンの音色のせいか、山々に囲まれた森の中のステージで観ているような、現実と違った空間が浮かび上がる。壮大なスケール感の中には、どこか和の雰囲気も。鉄琴&木琴のスイートなアンサンブルや、美しいファルセット・ヴォイスがなぞる旋律は、穏やかでいて同時に狂気をも感じさせる。最後に演奏した最新アルバムのタイトル曲“化け物山と合唱団”が、確かにこのバンドを言い得ている気がした。


ENTHRALLS(エンソロールズ)

ENTHRALLS(エンソロールズ) © Masatsugu Ide 黒の上下で決めたピアノトリオが、スピード感のある都会的なアンサンブルを聴かせる。ふいにクールな雰囲気を破って、関西弁で観客を煽る中井スグル(Ba)の笑顔が親近感を上げた。エモーショナルに連打されるドラム、上に乗っかって裸足で弾くピアノ。フロアが熱くなったところで、井上佳子(Vo)がステージに飛び込んできた。4ピース・ギターレス・バンド、エンソロールズの舞台の世界観が一瞬にして変わる。「大事な人に会えなくなった時、それでも元気にならないといけないなと思って作った曲を歌います『元気でいてね』」。“♪壊した物はもう元にはもどらないよ”と高音で歌い上げるピアノ・バラードにのせた歌詞が心の奥底にしみた。


ROBIN'S EGG BLUE(ロビンズエッグブルー)

ROBIN'S EGG BLUE(ロビンズエッグブルー) © Masatsugu Ide ほぼアカペラに近い静かな演奏からスタートし、ゆっくりと熱を帯びて高揚感を増していく。女性ボーカルAtsumiとMasashi(G)を中心とした4人組フォークロックバンド、ロビンズエッグブルー。アコギ、ウッドベース、ウクレレと、アコースティックな楽器を使っているのに、アバンギャルドな雰囲気を感じさせるパフォーマンス。どこか日本人離れしたセンスを持ったバンドは、NYで結成されたとのことで納得。金髪ショートヘアが印象的なAtsumiの声量たっぷりの、伸びやかでネイティブな英語詞の歌声は、まるでミュージカルの1シーンのようだ。マリンフィールドの空高く、どこまでもその静かに燃える歌声が届いたに違いない。


みそっかす

みそっかす © Masatsugu Ide 登場のSEは山口百恵「プレイバックPart2」!それぞれ色違いの甚平姿でステージに立った5人組は「名古屋から来たみそっかすです!」。デストロイはるきち(Vo)が叫ぶと、1曲目からパワー爆発!歌謡曲風の歌メロをのせたハードなロックサウンドに、もしや出れサマステージ初のモッシュやダイヴが起こるのでは?と密かに期待も。ステージ上の激し過ぎるダンス要員と化した、マイケルTHEドリーム(Key)は、入場時から客席に乱入する加熱っぷり。最後の曲は「ジャパニーズサマソニファッキン(夏はやっぱりフジロックver)」←ん?(笑)キャッチーでいながら、轟音ギター鳴りまくりのライブは、今後フェスの常連になる予感大!


ビレッジマンズストア

ビレッジマンズストア © Masatsugu Ide 体感温度40度の真夏の炎天下に、目も覚めるような赤いスーツ、黒のシャツに白いネクタイのお揃いのコスチュームで、みそっかすと同じく名古屋から乗り込んできた、5人組ロックンロールバンド、ビレッジマンズストア。白いマラボーを首から下げて熱唱&絶叫する、水野ギイ(Vo)を始めとして、ステージから放出されるエネルギーが最初から最後までとてつもない。ボーカルはもちろん、両ギタリストも隙あればステージを降りては過激に大暴れ!次々に繰り出される骨太なロックサウンドに、集まったオーディエンスもダンスや声援、手拍子で大盛り上がり。彼らの強烈なパワーが、サマソニも一瞬にして自分たちのライブハウスへと変えてしまった。


HAPPY

HAPPY © Masatsugu Ide 本日2ステージ目のHAPPY。さっきはサマソニのステージで3番目に大きいSONIC STAGEに立っていたかと思うと、SIDE-SHOWの出れサマステージでプレイする彼らが途端に身近に感じられる。表情もよく見えるし、MCもくだけているし、電子音よりも楽器の音がダイレクトに伝わってくる。同じ曲をやっても印象が違うが、どちらのHAPPYにも引き込まれる魅力がある。全編、英語詞でつづられたメロディを歌うスウィートな歌声の、Alec(Vo&G)とRic(Vo&Syn)の端正なルックスは今から要チェック!再び来年のサマソニのステージで、もしくはライブハウスで、進化を遂げたHAPPYのライブを観てみたい。


むすめん。

むすめん。 © Masatsugu Ide 出れサマにもアイドルブームの波!?蝶ネクタイにハイソックス、ネコ耳、しっぽを付けた衣装で踊るのは、9人の男子!モーニング娘。を踊るユニットとして結成されたむすめん。。ステージ前は若い女の子のファンで埋め尽くされた。まずは初のオリジナル曲「War Cry~アイドル気取りで何が悪い!~」を披露。続く、一人ずつアピールポイントを挙げていく自己紹介コーナーは、まさしくアイドル!そしてモー娘。の「One・Two・Three」~「恋愛レボリューション21」。狭いステージで、9人の男の子が自分を可愛くアピールしながら、楽しそうにくるくる踊っている姿は圧巻!黄色い声が飛び交う中、出れサマが幕を閉じたのだった。



<取材・文 下村祥子>